平成30年度 第1回CPD協議会シンポジウム報告
平成30年度 第1回CPD協議会シンポジウム
(平成30年5月30日開催)

 膨大なビッグデータを活用するIoT 技術やAI 技術の急進展により産業にパラダイムシフトが起こり、大きな社会変革がもたらされています。一方で我が国の産業基盤を維持、強化していくための基礎、基盤技術の衰退も大きな課題となっています。今回のシンポジウムでは、こうしたIoT時代における基盤技術の必要性を再認識するために「工学における基盤技術の重要性」について議論を深めることとしました。
 特別講演として、前機械学会長の大島まり東大教授をお招きし、基盤技術を担う人材育成についてご講演頂くとともに、各学協会、産総研でのCPD活動による基盤技術の醸成について紹介して頂き、我が国の「工学における基盤技術のあり方」について検討しました。

開催概要
日 時:平成30年5月30日(水)13:10〜16:50
場 所:公益社団法人地盤工学会 会議室(B1F)
主 催:公益社団法人日本工学会 CPD協議会
講演等概要
※講師等の敬称略

■司  会:石原 直(CPD協議会 副会長)

■開会挨拶:須藤 亮(CPD協議会 会長)
■講  演
  1. 特別講演  基盤技術を担う人材育成
    東京大学大学院情報学環・生産技術研究所
    次世代育成オフィス 室長 大島 まり(日本機械学会前会長)

    (講演要旨)
     日本では少子高齢化とグローバル化の進展にともない社会と労働環境が変化している。世界的に見ても、グローバル規模の知識基盤社会、IOT、BD、AIの発展にともなう産業構造の変化が加速度的に起っている。このような時代の人材育成について、機械学会と東京大学生産技術研究所の取組を説明する。
     日本機械学会は昨年120周年を迎え「10年ビジョン」を策定、「イノベーションを創出する人材の育成」をその中に位置づけた。このビジョンを10年活動方針・アクションプランに展開し、年度ごとの運営に行っている。女性研究者・技術者のネットワーキングなどの活動支援、女子学生と企業が参画するフォーラムの開催など女性の参画に注力、昨年度は女性会員が1000名(2.9%)を超えた。また、部門・支部における講習会や支部における産学交流の促進、「若手の会」の常設化などを通じて、若手の支援にも注力している。
     東京大学生産技術研究所次世代育成オフィスでは、学習指導要領改訂に示される教育の今後の方向性も考慮し、教育界と産業界(教育コンテンツの素材が豊富)の橋渡しに組織的・継続的に取組むことで、イノベーションを創出する人材を産学が共創・協働して育成する活動を開発している。具体的には、大学の研究者と企業の技術者が直接参加する出張授業やワークショップの開催、実験教材や映像教材の開発とそれらのICTによる浸透・普及活動を行っている。基盤技術を担う人材を多様な視点にて組織・世代・ジェンダー・国籍を越えて育成する必要があり、その際の投資をどのように捉えるか、大学・企業・学会の連携をどのように構築するか考えていく必要がある。
  2. 建設系CPD協議会加盟団体のCPD制度の現状(協議会活動報告)
    日本技術士会 事業部   関川 良平
  3. 電気学会における継続研鑚(CPD)の取組み
    電気学会 CPD部会 部会長   八坂 保弘
  4. CITP資格制度と継続研鑚に向けた情報処理学会の取り組み
    情報処理学会理事(技術応用担当)   北村 操代
  5. ECEプログラムの挑戦−Artificial Intelligence and IoT 分野における事例紹介−
    産業技術総合研究所   秋永 広幸
■閉会挨拶:高木 真人(CPD協議会副会長)
以上
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