会長挨拶
日本工学会 会長就任のご挨拶「未来社会のための工学の挑戦」

公益社団法人 日本工学会
会長 岸本 喜久雄
(東京工業大学名誉教授、日本工学アカデミー会員)


 佐藤順一前会長の後任として会長を拝命いたしました。本会は1879年(明治12年)11月18日に工部大学校の第1期卒業生により創立された我が国の最初の工学系学術団体であり、140年に亘る歴史を有しています。その会長を仰せつかりましたことは、大変名誉なことであるとともに、その重責に身の引き締まる思いであります。現在、本会は約100学協会を会員とする連合体組織となっており、定款に定めた「工学に関する学術団体及び関連する団体若しくは個人との連携協力を行うことにより、工学及び工業の進歩発達に寄与する」ことを目的として活動を展開しております。
 明治以来、我が国は発展を続け、世界有数の近代国家として今日の繁栄を築いてきました。資源に乏しい我が国がこのように発展できたことは、工学系分野を専門とする先人たちの挑戦と努力により創り上げられた高度な技術(工学技術)が大きく寄与しているといえます。将来に亘って、我が国が持続的に発展し、さらに世界の発展に対しても貢献をしていくためには、より優れた工学技術を発展させることが私たちに求められています。
 一方で、環境問題やエネルギー問題あるいは健康や幸福の問題をはじめ人類が抱える問題は複雑化、多様化しています。これからの世界は「VUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)」が益々強まると言われており、私たちにはこのような時代にひるむことなく挑戦し生き抜く力を持つことが求められています。近年の工学の発展は専門分野の細分化が進む方向でなされてきましたが、「未来社会のための工学」であるためには、専門分野の枠を越えた学際分野の課題への挑戦や異分野間のより緊密な連携が重要になってきています。
 我が国の工学の発展とともに歩んできた本会は、発足当初から、工学全般、更には工学に関連する分野の会員で構成されてきた組織であり、先人の叡智を将来につなぐとともに新らたな叡智を築いていくことが求められている今日、本会の果たすべき役割は極めて大きいといえます。会員の皆様方とともに「未来社会のための工学の挑戦」を続けて参りたいと思います。
2019年6月7日

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