No.430(平成12年4月10日発行)

一年間を振り返って

日本工学会 会長 大橋 秀雄

Webを利用した委員会活動システム

(社)自動車技術会 松下 元秀 (株)平和情報センター 若山 重樹

インターネットによる講演申込、参加登録システム

近畿日本ツーリスト(株)東京イベント・コンベンション支店 石井 聡


一年間を振り返って

日本工学会 会長 大橋 秀雄

 昨年4月石川六郎前会長のあとを受けて会長に就任して以来、早くも一年が過ぎました。前号のニュースに会長就任の短いご挨拶を載せましたが、その中で、学協会がもつ専門職支援機能を強化することに在任中最大の努力を集中したいと思いを述べました。
 いま振り返ってこの一年間を見ると、私の期待と予想を遙かに上回る速度で技術者を取り巻く環境が変わり始めました。昨年11月に設立された日本技術者教育認定機構(JABEE)を車輪の一つとすると、もう一つの車輪は現在(4月上旬)国会で審議中の技術士法改正案となります。この二つの車輪の上に、技術者の基礎教育から始まり、研修、資格(技術士)取得、継続専門教育(Continuing Professional Development, CPD)に至る一貫した技術者の生涯キャリアが乗っており、グローバルスタンダードの技術者を生み出す基盤が整いました。
 技術者教育の認定と技術者一般に対するCPDは、まさに技術者の集団である学協会が主体的に取り組む課題となります。しかし学協会間の調和を図り、分野共通の枠組みを整備して社会に対するアカウンタビリティを高めるためには、学協会のコンダクターが必要となります。技術者教育の認定については、そのコンダクター役がJABEEであります。JABEEの理事会が、主要学協会の会長で構成されていることは、その性格を如実に物語っています。
 一方、技術者一般に対するCPDについては、先ず個別学協会の熱意と特色が生かされるべきですが、ここでもやはり分野を越えて調和を図るコンダクター役が必要となります。その役者は未だ不在ですので、至急立ち上げが必要となります。それはProfessional Development of Engineers(PDE)の共通な枠組みを設定する組織で、当然学協会をメンバーとする協議会となります。
 技術士法の改正が実現すると、早速に、技術士を目指す習修技術者の研修プログラムの策定と、技術士に対する継続教育の実施が急がれることになります。この二つとも、日本技術士会と学協会が協力して実行すべきことが技術士審議会の報告書に明記されており、新技術士法の成果を左右する重要な作業となります。現在すでに「技術士継続教育実施方策検討委員会」が発足し、日本技術士会側から7名と学協会側から7名が参加して審議を始めています。私は日本工学会会長としてこの委員会に参加し、委員長もお引き受けしていますが、技術士の研修や教育に関する問題は、本来日本技術士会と未だ幻のPDE協議会が、対等な組織として協力し、責任を持つべきと考えています。
 新しい技術士法では、技術士となる第一段階として技術士一次試験に合格することが規定されています。但し、文部科学技術大臣が指定する教育課程の修了者に限り一次試験が免除される条項が盛り込まれており、JABEEが認定する技術者教育プログラムこそが、まさにその指定教育課程に対応することが審議会報告書に明示されています。
 1997年、日本工学会と日本工学教育協会が共同して「国際的に通用するエンジニア教育検討委員会」を立ち上げたとき、我々は「やがて教育と資格が連動する日がやってくるが、まだ当分は先の話だろう。しかし、変革に長い時間を要する教育については、早め早めに準備を進めないとあとで後悔する」と思いつつ基盤作りに乗り出したものでした。それが大逆転し、まだ認定の試行が始まったばかりの段階で、技術士法の改正が先行してしまいました。
 我々の予測を狂わした原因は何処にあったのでしょうか?それは我が国の技術力の将来に対する懸念が、予想以上に高まったことに起因しています。アメリカに比べて見劣りする産業競争力、バイオ・情報などの新産業を創出する力の弱さ、それに加えて重なる事故が、科学技術創造立国が根のない願望に終わってしまうという危機感を煽りました。国会も、政府も、産業も、そして遅ればせながら大学も、我が国の技術力を高める方策を真剣に考え始め、そしてその一つの処方として、技術者の強化が浮かび上がってきました。それからの動きは、予想を上回る早さでした。
 日本工学会は、JABEEの立ち上げに当たっても、また技術士審議会の報告書案に対する学会意見の注入においても、リーダーシップを発揮できたと自負しています。工学会の役割がますます重要になる予感がします。まさに時代の匂いとも言えましょう。加盟学協会の主体性を尊重しながら、力を合わせるベクトルの始点として、次の一年も成果の多い年となることを願っています。


Webを利用した委員会活動システム

(社)自動車技術会 松下 元秀 (株)平和情報センター 若山 重樹

 標記テーマの一つの例として、昨年8月に稼動を開始した(社)自動車技術会の会誌編集委員会活動支援システムを紹介させていただきます。
 まず、会誌編集委員会活動のうち、最も特徴的で労力のかかる業務について、簡単に説明をいたします。会誌は毎月1冊発行しており、各号ごとに担当委員を選任しております。担当委員は、編集のねらいを作成し、編集委員へ知らせます。編集委員は、これを受けて編集のねらいに則した記事を提案し、担当委員が取りまとめた上で、編集委員会に諮り審議します。このように、“編集委員からの意見聴取”〜“とりまとめ”〜“委員会審議”の流れを3回ほど繰り返して編集計画が決定されます。この間、担当委員及び事務局は、審議資料の作成作業を繰り返し行うこととなります。また、審議後に最新のデータが委員へ配付されるまでに相当の時間を要していました。
 そこで、これらの問題を解決するため、以下の2点を目的とした委員会活動支援システムを開発することとなり、Webを活用することとしました。
 1. いつでも、即座に、最新の情報を閲覧することができ、かつ編集作業ができる。
 2. 従来の重複的な資料作成作業を大幅に省力化する。
 システムのイメージとしては、ホームページ上に委員会共通のワープロを所有したとお考え下さい。その共通ワープロに各編集委員が意見を記入し、担当委員が共通ワープロ上で意見の取りまとめ作業をします。この共通ワープロには、簡単なソート機能や計算機能がついております。入力作業は、レイアウトされた画面に入力するだけですので、普通のワープロよりも負担はかかりません。なお、ホームページ上にありますので、セキュリティ上、委員にはIDとパスワードを付与しています。担当委員と編集委員のアクセス権限の違いは、IDにより事務局が制御しています。
 運用を開始してから、6ヶ月を経過いたしましたが、これまでの成果及び問題点を紹介します。まず成果ですが、当初の目的は十分達成することができました。特に二番目の目的であった資料作成作業の大幅な省力化では予想以上の効果をあげることができました。次に問題点ですが、当初予想された、委員のホームページ利用環境の整備(かなりの企業でホームページの利用を制限していました)、操作上の不慣れ、は殆ど発生しませんでした。前者の問題は、ホームページの利用目的が明確になれば企業の承認が得られたようです。後者の問題は、パソコンの操作が日常業務として普及していたことだと考えます。一番多いトラブルとしては、通常のパソコンとWeb上の入力方法で、一部基本的な部分で大きな違いがあるため、入力の際に混乱が見られることです。しかし、この問題も慣れにより解決がつく問題と判断しています。
 次に、現行システムに対する改善の提案ですが、機能が追加されると便利であるというものが多く、根本的な改善提案は見られませんでした。機能が追加されると便利というものは、操作の慣れにより解決のつく事項が多く、また便利度と費用のバランスの問題でもあり、一番苦慮する面でもあります。なお、E-mail機能も持たせる提案がありましたが、システム開発費用が大幅に上がることから、E-mail機能は委員が通常利用されているパソコンの機能を利用することとしました。
 今回ご紹介しましたシステムは、それ自体が収入を生むものではなく、直接的に支出を削減するものでもなく、昨今の経済状況では導入しにくい面があるかと思います。しかし、労力の削減が迫られている中で、より良いものを提供していくには、インターネットの積極的な活用が有効な対策の一つと考えます。
 限られた紙面の中で、与えられたテーマにどこまでお応えできたのか、大きな不安を持っておりますが、学会の委員会活動にもWebが有効に活用できることの感触をお掴みいただけたとしたら幸いです。


インターネットによる
講演申込、参加登録システム

近畿日本ツーリスト(株)東京イベント・コンベンション支店 石井 聡

 日本物理学会、電気学会両学会様でご導入頂いている講演申込及び参加登録システムについて紙面をお借りしてご説明させていただきます。
はじめに
 私共近畿日本ツーリストはかねてより総合旅行業として旅行に関わる膨大な情報管理(個人データ、予約データ等)を行なう必要がございました。学会、国際会議等コンベンションに深く携わるようになるにつれその情報量は更に増しております。そこでその管理手法として、業界内ではいち早くコンピュータシステムを導入しネットワークの構築を行なってまいりました。
 さらにインターネットの急速な普及に伴いこれまで社内完結のみであったシステムを、お客様とのコミュニケーションを念頭に置く形に発展させることが可能となりました。
「これまで手作業で行なっていた業務をシステムに置き換える。」この発想に間違いはありませんが、業務分担や流れを変えなければ効率化が計れないのも事実です。私共はコンピューターシステムの販売が目的ではございません。システムとあわせて業務の流れの再構築、及び業務のアウトソーシング化をご提案しているものです。
 以下に現在の運用システムの概要及び特徴を記させて頂きます。
システム概要
 講演募集から大会当日配布物、さらには集金業務まで一括したサービスの提供が可能です。業務内容を再検討した上で、例えば座長依頼等これまで学会事務局の行なっていた業務も一貫した流れの中でご依頼頂けます。項目としては、プログラムを作成する為のwebによる講演,抄録受付、受領通知発送、修正対応、プログラム編成用資料作成、講演番号通知、座長依頼、論文受付、プログラム、論文集編集印刷、事前参加受付、入金管理、各種帳票類作成、請求書領収書発送、CDROM作成等がございます。
特徴
 講演受付 :〆切日までは何度でも修正できるよう組まれています。
弊社の持つシステムをカスタマイズして利用しており開発費は頂いておりません。
 受付〆切後:ここが最大の特徴です。プログラム編成後の講演通知、座長依頼などの業務に関しても一貫して承っております。
 登録関係:講演申込と同時に参加登録をwebで行なう事ができます。また今まで通り紙も併用などの対応も致します。支払方法にクレジットカードの採用も可能になります。
 制作物:上記の流れの中で、今まで必要であったデータ処理費などの削減が可能になります。一括委託によりメリットの出てくる部分です。
おわりに
 この業務は常に「お客様のご希望をかなえる為に」の意識で取り組んでおります。年次大会のみならず国際会議や海外で行なうシンポジウムなど先生方や事務局様が携わらなければならない会議関連業務は多岐に渡っております。弊社のシステムはさまざまな会議に対応できるようになっております。「このようなコンセプトでこうしたい」というお考えがございましたら是非とも一度ご相談下さい。どのようにご対応できるか、どうしたらコストに見合うか等、コンベンションのウエルコーディネーターとして一緒に考えさせて頂きたいと思います。
 宜しくお願い申し上げます。

連絡先:cvn@knt-tokyo.gr.jp 担 当:石井