ご挨拶
今、日本も世界も持続可能な発展を如何に実現するかという大きな命題に直面しております。特に日本は明治維新、戦後復興に次ぐ第三の国創りの重大変革期にあり、同時にこのたびの東日本大震災と原発事故による国難に突入しております。犠牲になられた多くの方々の御霊に対し衷心より哀悼の念を捧げるとともに、今も被災地の復興と原発事故の収束に命を懸けて立ち向かわれている方々に対しても、心よりの敬意と激励を送りたいと思います。そして今、私達工学に立脚して社会に貢献する使命を持つものは、今一度工学の原点に戻って、この国難の克服に貢献する使命を再確認し、社会から負託された信頼を取り戻す行動を起こさねばならないと決意を新たにしております。
2015 年に日本で開催される世界工学会議WECC2015 において私達は、日本の工学分野で「教育」と「技術革新」と「震災復興も含めたイノベーション創出」を受け持つものとして、これらに対する具体的な取り組みと成果の報告を世界に向けて行わねばならないと考えます。WECC2015 では「工学:革新と社会(Engineering: Innovation and Society)」の統一テーマを掲げ、工学と技術の社会とのかかわりについて様々な視点から議論がなされるでしょう。その場において、第三の国創りと国難に立ち向かっている様々な日本の活動と成果を工学の原点に立ち返って報告を行い、世界と議論をする好機でもありましょう。WECC2015に、たくさんの方々の参加を期待しております。
社団法人日本工学会 会長 柘植綾夫