CPD活動の意義について
CPD協議会前会長 廣ア膨太郎
CPDとは、Continuing Professional Developmentの略で、技術者が自らの能力を継続的に磨く活動を指し、継続教育、継続学習あるいは継続研鑽などと訳されます。欧米では、特に1993年のEU統合以降技術者の国際流動性の高まりもあり、技術者資格の相互認定、技術者の継続的質保証などの体制整備が進み、その一環としてCPD活動も整備されてきました。こうした国際動向を受け、我が国でも、2001年にスタートした第2期科学技術基本計画において国際的に通用する技術者の養成・確保の必要性が謳われ、これを機に、工学系学協会ではそれぞれの分野の実情に合わせた独自のCPD活動が展開されてきました。
CPD協議会は、こうした工学系学協会CPD活動の横断連携を図る連合体として日本工学会の下に組織化された協議会であり、我が国のCPD活動の目的および基本理念を明確にするとともに、CPD協議会加盟の学協会が技術者の能力向上を効果的に進めるための基盤整備などの活動を推進しています。特に、近年の技術革新は目覚ましく、一企業では対応しきれない分野の研修プログラムに対する産業界の要請もあり、学協会が自分の得意とする専門分野において産学共同でCPDプログラムを実施することに加えて、分野横断的な視野、社会的な視野を要する内容については、CPD協議会が中心となって関係する学協会と連携して、CPDプログラムを作成することも必要になってきています。
今日、我々を取り巻く社会的課題は、エネルギー問題、環境問題など、ますます大型化広汎化しており、こうした課題に対処するには従来以上に複眼的思考力を持った技術者の育成が不可欠となりつつあります。また、こうした課題に対応し得る人材を育成するCPD活動は、自己の能力を磨く活動のみならず、磨かれた能力を実務に生かす実践力を高める活動をも含むものとならなければなりません。幸い我が国には“自助”を尊重する実学の伝統があり、実学尊重の伝統に基づいたCPD活動を展開することは、我が国の学協会と産業界との新たな連携基盤を構築する契機になるものと考えております。
古来、人材育成事業は、息の長い事業です。CPD協議会では、我が国の産業競争力強化の観点からも長期的な視野に立ったCPD活動を展開したいと考えております。(2016年11月)
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